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紀北の旅 紀行文2006
猪の鼻水平道を友と歩いて
浜田 紀子

シダの生茂る 十一月四日、私はオチョボ岩に行きたかったが、ウォーキングを始めたばかりの友達三人を、猪の鼻水平動に案内する事になった。仕事をしていると休日を合わす事は大変で、私も熊野古道伊勢路を完歩するのに五年かかっている。今回も、一人は行けなくなり、一人が仕事疲れで楽な所が良いとの事にて、猪の鼻水平道に決まった。
 先に紀北町海山区に車を置き、尾鷲市水地にもう一台置き、十時に出発した。
「尾鷲にもこんな良い所があったのね。」
尾鷲湾に浮かぶ佐波留島・桃亀島・雀島を眺め、感動する友達であった。シダの生茂る昔のままの道をトトロの道と言い、写真を撮りながら歩いた。一時間で猪の鼻岬に着いた。
弁当を食べた。「ああ、おいしい・・」幸せな気分になった。前には割亀島があり、周りに小舟が二艘浮かんでいた。イガミ釣りだろうか等と話がはずみ、三十分休んでしまった。 その後、なだらかな道を、太平洋や引本湾を眺めながら、写真を撮り、歩いた。眼下には小山浦の村が見えた。
「あそこが私の実家よ。」
と指示した。気が付くと一時間の道が二時間かかっていた。小山浦に着き、車に乗り、道の駅「海山」でアイスクリームを食べた。冷たさが喉を通り抜けた。他の道の駅と比較して、土産物や展示場等もっと工夫しても良いかなと思った。水地に車をとりに行き、自宅に戻った。
「来て良かった。」
と喜ぶ二人を見て、私は、オチョボ岩でなくて猪の鼻水平道で良かったと思った。幼き日から歩いている道だが、何度歩いても良い道である。ウォーキングの先輩がつれて行ってくれた様に、私も他の人を案内し、一緒に楽しみたいと思った。

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